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千里十里 [和歌山]

和歌山市ぶらくり丁が盛況だった昭和20年~30年、ここに買い物に来るお客さんは北は泉南から、南は海南市から、東は橋本辺りからも買い物客が来ていた。
市内の客足は自転車が多かった。現在「千里十里」を経営するM若旦那のお祖母さんが買い物客の自転車を預かる仕事をしていて、Mさんのおとーさんがこの地、築地通りに昭和30年に開いたという。
おとーさんは現在も店入口側で握りと接客を担当していて店の守護神でもある。
いつ頃か他の業種に就いていた息子さん(次男)を呼び戻し、弟夫婦に揚げ場と焼き場を担当させ、ママ(奥様)、若奥様(二代目夫人)、長女の姉さん(M若旦那の姉)や孫たち他を掻き集め、新鮮なネタと人柄で千里十里ワールドを確立させた。
千里十里2.jpg処理済~千里十里と若旦那.jpg
大田和彦氏の著書「居酒屋味酒覧」151頁に掲載されたこの店に初めて行ったのは2005年5月。ダイワロイネットが開業前で和歌山市駅前ホテルグランピアに諸事情から連泊。歩いて行った。一人で飛び込んだ。
「いらっしゃい。どーぞお好きなトコへ」って声をかけてくれたのは現在の店長で二代目のMさん。おとーさんの次男で私より1歳年下。キップのいい男前。
外のお品書.jpg長大カウンター.jpg
この店はウナギの寝床みたいに細長いく店に入ると奥は何処まで続いているのか見えない造りになっている。電車車両2両分の長さはある。
「千里十里」は魚中心の居酒屋。居酒屋に一捻り加えて魚酒屋(うざかや)というのだが、入口から長大なカウンターが奥まで伸び、3つのガラスケースには鮪、鰹、ブリ、カンパチ、ハゲ(私ではない。カワハギのこと)、鯛、太刀魚、ホウボウ、赤貝、ウニ、ネタがいっぱい詰まっていて気合充分な店と見た。もちろん単品でも盛り合わせでも可。
お品書きを見よ!!これだけあるとワクワクします。
オススメだよ.jpgソソルお品書き1.jpg
ソソルお品書き2.jpgお品書き正面3.jpg
だが私がここで初めて喰ったアテは「串カツ」なんです。何もここで喰わなくてもと思わないでもないが関西で初めて喰ったのはこの店なんですな。豚と牛とある。それと鯨の生姜焼だったかな。この二品で生ビールをガーッと流し込んだ後でヒラメの造りをお願いしたのね。当時初回はこの店の一押したる「加太の鯛」「雑賀沖の鯛」とか知らなかったのよ。
そのヒラメですが「ヒラメ、今からこれをおろしますから」ってM若旦那が右手に持って見せてくれたのが家庭用まな板の1.5倍くらいあるデカいヒラメだった。一見飛び込み客でよそ者の俺にそこからやってくれるんかいと物凄く感激した。
現在でもお付き合いが続くこの店の初訪問時のホントの理由はちょっと書けないのだが、ネタがいいワ勘定が高くないワ、店の人柄が最高なこの店にハマってしまい毎晩飲みに行った。和歌山市だとこの店以外考えられないのだ。
長大カウンター左1.jpg長大カウンター右3.jpg
私はいつも早くて20時半以降を狙って訪問する。
こんな声がかかる。
「ああ、よう来はった。いらっしゃい」
「うわぁ、〇〇さんよぉ」
「和歌山へ今着いたんか?」〇〇とは私のこと。
「最近、よう見えんなぁって噂しとったんよ~」
半分ホントで半分世辞かも知れないが言われて悪い気がするワケがない。
「今、ママは温泉や。皺伸ばしに行った」これは丸正の跡地にできた「ふくろうの湯」のことらしい。
「何でも言うたってよぉ~」
注文してよぉ~の意味です。では注文しましょう。
アジフライ.jpgカキフライ.jpg
カワハギ.jpg加太の鯛.jpg
鯨生姜焼き.jpg雑賀沖の鯛.jpg
刺身盛り.jpg赤貝大好き.jpg
処理済~父と子.jpg大トロにぎり.jpg
大トロ2.jpg入口側にはおとーさんとMさんが造りと握りを担当している。
造り盛り合わせや単品、ネタ各種、太巻、鯖松前寿司、鉄火巻(赤身というか中トロに近い)、河童巻とか。
ものによってはテイクアウトも可能です。
私はカウンター中央に座ることが多いです。細長い店内を見渡せて裏方もちょっとだけ見えるここが一番楽しいですな。

この店の人員構成だが、基本は①②③です。
先代夫婦。おとーさんとおかーさん。
若夫婦。Mさんとその奥さん。
おとーさんとMさんは親子で造り、握りを担当する。
おじさん夫婦(揚げモノ、焼きモノを担当)。おとーさんの弟さんです。つまりMさんのオジさんとその奥さんですな。
Mさんから聞いた話だと、「うちの父と一回り年が違ってて、同月同日生まれのオジさんなんです」という。

週末や混んでる時は若手の応援スタッフが加わる。②の若夫婦の娘さんと③の息子さん。従兄弟ですな。もう一人男の子がいて、おそらく3人とも従兄弟ではないか。

更にはおとーさんの長女でMさんの姉さんが加わる時もあり、親族同士の連携プレーが見事。それぞれの持ち場をしっかり守っている。
裏の洗い場には謎のスタッフが2人いる。一人は腰の曲がった婆さん。他にもう一人いる。
以前は妙に肩揉みマッサージの上手な中国人の学生さんもいた。
多い時は店スタッフが10人以上もいて威勢活気よく皆がこの店で働くのが楽しいのか見てて気持ちがいい。処理済~一族で切り盛り.jpg処理済~揚げ場焼き場夫婦2.jpg処理済~揚げ場焼き場夫婦3.jpg
弟さん.jpg二代目若の奥様1.jpg処理済~夫人チーム.jpg
私の正面には揚げ場と焼き場でおとーさんの弟さん(オジさん)夫婦が前後右に焼いたり揚げたりしている。よく出るのはサワラ西京焼、鯖塩焼、灰干秋刀魚、太刀魚、鯨竜田揚、アジフライ、カキフライ(冬場)、穴子天、野菜天各種、鰯梅肉揚(オススメです)、鮪葱間焼、焼鳥各種・・・といった按配。
「おらぁ、〇番さん天ぷら揚がったでぇ~」
いつも戦争のようにせわしないが、たまに注文が途切れると「ニマ~っ」と笑って話しかけてくる。
弟さんの奥さんが事前にお皿の上に、キャベツの千切りとかを用意しておいて「おざぁしぃきぃ~。やぁきぃとりぃいくよぉ~。持ってってよぉ~」との~んびり叫ぶ。カウンターや奥座敷の注文を旦那に中継ぎ役であり、ムードメーカーでもあり、仕入担当でもある。22時過ぎると品薄をメモしていますね。
若旦那Mさんにきいたら「オバさんはお客さんのボトル管理が完璧なんですよ」という。

酒の種類はそんなに多くはないです。私は「黒牛」「荒海」
和歌山だけに四国の焼酎の方が多いかも。サワー各種。私は夏場に柚子チューハイってのを飲んだが。
この店には何故か炭火焼コーヒーもあるんです。出たの見たことないけど。不思議な店ともいえる。
飲み比べ.jpg銘酒黒牛.jpg
魚がメインなので刺身はもちろん、握りや巻物、天ぷらやフライ、焼き魚や焼き鳥、煮魚(ハゲ、カワハギやメバル)、あるべきものが全部あるのだが、さすがにステーキとか麺類はないが、まれに鮎や猪肉串焼きがある時も。
ご飯ものは天丼、鰻丼、雑炊、茶漬け(カツオ茶漬とか)といった按配。
珍味で胡麻豆腐、できたて豆腐いうのもある。
ツナサラダも美味いですよ。ダシ巻きタマゴなんか上品でサイコーです。赤ダシも蜆汁も濃厚です。
店の奥には水槽がある。右奥に洗い場と、ご飯や汁物、茶碗蒸しや土瓶蒸し、煮魚の場所がある。
お品書きに“納豆”ってのがあって、何だろうと思って冗談半分で注文したら、納豆とネギと、卵の黄身と海苔が乗ってた。私はこの店で酒のアテに納豆にハマり、自宅近くの小料理屋でも「納豆とタマゴ、海苔かけたヤツ」って裏オーダーするようになった。
薬味が多いのだ.jpgミニオコゼ.jpgミニオコゼ揚げ物.jpg
水茄子.jpg茶碗蒸し.jpgつきだしチラシ寿司.jpg

千里十里オリジナル.jpg「千里十里」は今日も盛況です。
「生中いっちょぉや」おとーさんの太い声。
「ハイ、刺盛いきますぅ~ぅ」若旦那Mさんの声。
「お造りいくよぉ~」オバさんの明るい声。
「お座敷4名さん、行けますかぁ~」
「はぁい。今、お席ご用意いたしますぅ~」
(金)(土)の早い時間は混む(らしい?)が、私は満席で入れなかったことは皆無。

ところが平日は21時過ぎるとガラガラになる。
喧騒だった奥の座敷も静かになっている。
「〇〇さんが来るとお客さん誰もいなうなる(いなくなる)なぁ」
「ホンマや。貸切やわ。ゆっくりしたってよぉ~」

長大カウンター左4(空いてきた).jpg処理済~9時過ぎると2.jpg
気付いたら「そして誰もいなくなった。。。」っていう光景は毎度のことなのだが、自分だけでこの名店のカウンターを独占する心地よさといったら。。。[わーい(嬉しい顔)]
コメント(11) 

コメント 11

でじぶ

メニューがずらーっと張り出されている飲み屋さん、楽しいですよね。
あのワクワク感、大好きです。
by でじぶ (2011-06-13 17:32) 

ヒロ

おー、ここでしたか、No.1の居酒屋は。
ボクなら「遠征」という形で早めに切り上げれば、日帰りも可能ですな(^^) 
こりゃあいいです。史家さんが気に入るのはわかるような気がする。若者が行く居酒屋とは完全に一線を画していますね。「横浜の○○さんの紹介で来たんですワ」って言ったらサービスしてくれるかな~(笑)

それにしても、史家さんが来ると他のお客さんがいのうなる、っていうのは、なんとなくわかるような気が・・・・(爆)
by ヒロ (2011-06-13 21:28) 

sayurin

待ってましたよぉ~♪
私は元々新地(結構な客引きありです^^)にあって、今やほぼラーメン店に転向された割烹幸太郎で和歌山の美味しいお魚に出会いました。
その後は、たか屋→銀平その他漁港や加太神社前などモロモロ渡り歩き、今やっと落ち着いた感じです。

私がいつもオーダーするのは~
本日のおすすめ刺身5種盛・松前寿司(酸っぱさ最高)・タコ酢(これまた酸っぱさに大根おろしと生姜がマッチ)・焼き貝系・煮魚(甘ったるくなく切れがアル)・酢味噌系^^・焼き鳥(タレが絶妙~)
あわびバター焼を食べても1,280円でした。
鰯梅肉揚げは売り切れだったんで、まだ食べてません。
梅がムッチャ酸っぱくって~><次回は一番にオーダーすることにします。

それにしても、みなさんご親戚なんですね。
一人な男性に量も値段も半分にするから、肉食べなさいとか^^
私が帰る時に、傘忘れてない??て走ってきてくれたり^^

1ヶ月行かない間に、鱧の季節ですね♪
そろそろ行かないと~☆

by sayurin (2011-06-13 21:54) 

sayurin

質問を書き忘れました。
あの緑のワサビ味のツブツブは何なんですか??

by sayurin (2011-06-13 21:57) 

遠霞(とおがすみ)

ひゃあぁ~
とうとうアップされましたね。ここに1人で入ったときの清冽な印象。
そして横浜の○○さんに奨められて…といったあとの会話…
そして次から次へと頼んで、喰った料理のいちいちの美味しさ。思い出しても、また行きたい…

あのメニューはどうやったら制覇できるのか?
どうやったら和歌山で飲む機会が再度作れるのか?
悩ましい…

再訪の機会はありえないくらい厳しいのですが、それにしてもこれほど料理と会話に満足する居酒屋はない!!というお店でした。とはいえ大散財したような…(^^;
by 遠霞(とおがすみ) (2011-06-13 22:12) 

横G

良さげな店ですねo(^-^)o
でも和歌山ですか~( ̄~ ̄;)
遠いですね~(^o^;
だいたい行った事無いんですよね(;^_^A
いつか行けるかなぁ(o^o^o)
by 横G (2011-06-13 23:05) 

船山史家

でじぶさんお初に。
こんな大雑把なBlogにお出で下さりありがとうございます。

カウンターにノートか台帳みたいなお品書きを置いてある店、ホワイトボードが1枚か2枚架かっていてマジックで料理名を書いてある店はそこらにありますが、カウンター前面にお品書きが相撲取りの番付みたいにズラーッと並んでると壮観です。お品書きが「見てくれ~」「注文してくれ~」って私に訴えているんです。見てると「どれにしようか」って心が啼くんですよ。迷ってると「何でも言うてよぉ~」って声がかかるので気合充分な店なんです。ワクワクしますよ~。

ちょっと今、平日、多忙なので、週末にそちら様も覗いてみますね。
by 船山史家 (2011-06-16 22:13) 

船山史家

ヒロ旦那。前にいた某掲示板時代から「いつかは。。。」ってUpを狙っていたのですが、この度ようやく成就いたしました。

大阪からなら1時間ちょっとかな。日帰り可能ですね。それだけでも羨ましい。行かれたら私の〇〇を出してもいいですよ。是非出してください。何をサービスしてくれるかわからないけど、楽しいひと時を過ごせるのは必定です。

この店は平日8時半以降が狙い目です。9時か9時半以降はガラ空きになります。和歌山の夜遊び人口が少ないんでしょうな。私の人相のせいもあるかもしれないけどね。
by 船山史家 (2011-06-16 22:18) 

船山史家

sayurinさんがウラヤマシイ。
この店にチョイチョイ行ける圏内でウラヤマシイ。

新地(アロチ)はこの店を出た後でホロ酔いで彷徨した時が一度だけあります。ちょっとヤバいかな~みたいな雰囲気でした。でも客引きには遭わなかったな。

私は加太か雑賀沖の鯛は欠かせないですね。それとハゲ(カワハギ)ね。冬場の方が身が締まっているような気がしますが。ヒラメもね。
大トロなんか舌上でトロけます。
鉄火巻もサイコー。
奥に宴会が入っている時は揚げモノが立て混んでいるので、そういう時は「鰆西京焼」とか「鯖塩焼」とかオーダーします。「焼き物なら大丈夫(早い)やわ~」って。て
これから鱧の季節ですな。「鱧天いっちょぉ~」って声が響きますね。
定番、鰯梅肉天も是非是非。。。

この店は薬味が多く、ワサビ、生姜、柚子胡椒、紅葉オロシとイロイロあるんですが、あの緑色のツブツブはね。ちょっとワカんないんだけど、カズノコの細かいヤツみたいでしたよ。なんだろう?行かれたら聞いてみてくださいな。

前はしょっちゅう行ってたの。とある事情で行く回数が減ってしまって。カウンターのあの空間は、美酒とアテと和歌山人情が凝縮されています。平日の21時以降にカウンターで俺だけになると、10人近くいるスタッフの笑顔に代わる代わる包まれる自分がいます。
こんな凄い店に出逢えてヨカッタけど、反面しょっちゅう行けない切なさも感じています東京で。
by 船山史家 (2011-06-17 00:04) 

船山史家

遠霞さんはこの店で私の〇〇を出した後の店側の反応を是非聞いてみたいですねぇ。俺が出しなよって自信満々にススメたんだっけか。
今回の訪問時に揚げ方の奥さんに言われましたよ。「そういえば、お友達が来はった」って。

あのメニューを制覇するには和歌山市に住むしかないかなぁ。私はオーダーする料理はだいたい決まっているのですが。アジフライは数年前の初訪問時にはなかったですよ。
和歌山で飲む機会は強引に作るしかないですな。昔は黙ってても行かなきゃなんない事情が転がり込んで来たんですが。。。
by 船山史家 (2011-06-17 00:16) 

船山史家

横Gさん。私もまさか和歌山にご縁が出来るとは思わなかったです。

本文中に書いてますが、私が和歌山にご縁が出来た理由、事情はちょっとここでは書けないのね。比重としては会津と甲斐南部に続いて、ここ和歌山といっていいでしょう。
和歌山市内に限定されます。白浜までは無理やり行きましたが、熊野古道とか高野山方面には行ってないので。ホント和歌山市内の飲み屋限定かな。この店限定ともいっていいかも。

ホントはもっとネタがあるんです。人間ドラマが隠れているの。でもそれは諸事情でUpできないのです。なのでこの和歌山編は自分で書いていながら不完全燃焼でもあるんですよ。これ以上はナイショさ。
by 船山史家 (2011-06-17 00:22) 

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